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2013年5月 9日 (木)

「内田樹の研究室」を読む

今まであまりまともに読んだことがなかった内田樹氏のブログを読みました。
なんとなく腑に落ちるという感じがしなかったのですが、今回のコラムは腑に落ちたのです。

内田氏によりますと、「国民国家」という統治システムが17世紀ごろに原型ができあがったそうです。
それはつまり、国境を策定した中に住む人たちだけを暴力や収奪から守る役目を果たそうとする「身びいき」な単位だった、ということです。

それがいつしか徐々に「国民以外のもの」の利害を国民より優先するようになってきた、というのです。
全文をリンク先でお読みになることをお勧めします。

内田樹の研究室

朝日新聞の「オピニオン」欄に寄稿

(引用ここから)

ここで「国民以外のもの」というのは端的にはグローバル企業のことである。
起業したのは日本国内で、創業者は日本人であるが、すでにそれはずいぶん昔の話で、株主も経営者も従業員も今では多国籍であり、生産拠点も国内には限定されない「無国籍企業」のことである。この企業形態でないと国際競争では勝ち残れないということが(とりあえずメディアにおいては)「常識」として語られている。

外国人株主からすれば、特定の国民国家の成員を雇用上優遇し、特定の地域に選択的に「トリクルダウン」し、特定の国(それもずいぶん法人税率の高い国の)の国庫にせっせと税金を納める経営者のふるまいは「異常」なものに見える。株式会社の経営努力というのは、もっとも能力が高く賃金の低い労働者を雇い入れ、インフラが整備され公害規制が緩く法人税率の低い国を探し出して、そこで操業することだと投資家たちは考えている。このロジックはまことに正しい。
その結果、わが国の大企業は軒並み「グローバル企業化」したか、しつつある。いずれすべての企業がグローバル化するだろう。繰り返し言うが、株式会社のロジックとしてその選択は合理的である。だが、企業のグローバル化を国民国家の政府が国民を犠牲にしてまで支援するというのは筋目が違うだろう。

(引用ここまで) 太字は管理人による

グローバル化した企業が、特定の地域の住民を雇用優遇し、トリクルダウンし、せっせとその国に高い法人税を納めるというのは、その企業や投資家にとっては「異常」なものに映るのも当然だろう、という感じです。

実態は無国籍化しているのに、ニッポンの企業である名乗ることを手放さない企業のために、政府が国民にそのコストを負担せるのは筋目が違うだろう、と内田氏は言います。

しかも、グローバル化とナショナリズムはコインの裏表だそうで、ナショナリズムを煽ることで外国に負けまいとする国民の意識を利用することで「一億心合わせて」企業活動を応援するように仕向ける、のだそうです。

つまり、低賃金・サービス残業を受け入れ、原発再稼働やTPP参加を受け入れなければ国際競争を勝ち抜けないぞ、いうことの脅しの材料としてナショナリズムを煽る必要があるのだということです。さらに引用続けます。

(引用ここから)

グローバル化と排外主義的なナショナリズムの亢進は矛盾しているように見えるが、実際には、これは「同じコインの裏表」である。
国際競争力のあるグローバル企業は「日本経済の旗艦」である。だから一億心を合わせて企業活動を支援せねばならない。そういう話になっている。

そのために国民は低賃金を受け容れ、地域経済の崩壊を受け容れ、英語の社内公用語化を受け容れ、サービス残業を受け容れ、消費増税を受け容れ、TPPによる農林水産業の壊滅を受け容れ、原発再稼働を受け容れるべきだ、と。この本質的に反国民的な要求を国民に「飲ませる」ためには「そうしなければ、日本は勝てないのだ」という情緒的な煽りがどうしても必要である。これは「戦争」に類するものだという物語を国民に飲み込んでもらわなければならない。中国や韓国とのシェア争いが「戦争」なら、それぞれの国民は「私たちはどんな犠牲を払ってもいい。とにかく、この戦争に勝って欲しい」と目を血走らせるようになるだろう。

国民をこういう上ずった状態に持ち込むためには、排外主義的なナショナリズムの亢進は不可欠である。だから、安倍自民党は中国韓国を外交的に挑発することにきわめて勤勉なのである。外交的には大きな損失だが、その代償として日本国民が「犠牲を払うことを厭わない」というマインドになってくれれば、国民国家の国富をグローバル企業の収益に付け替えることに対する心理的抵抗が消失するからである。
私たちの国で今行われていることは、つづめて言えば「日本の国富を各国(特に米国)の超富裕層の個人資産へ移し替えるプロセス」なのである。

(引用ここまで) 太字は管理人による

そんな、反国民的な要求を国民に飲ませるのには、今の安倍政権みたいな保守タカ派政権にとって、ナショナリズムが最適な道具だということでしょう。

なるほど、と思わせます。

ところで、内田氏は、そういったグローバル企業の傲慢で手前勝手な主張を、マスメディアがなぜ無批判に垂れ流すのか驚愕する、と綴っています。それは当然、自分たち、メディアのスポンサー様であるグローバル企業に批判的な記事を書いてしまって、その結果、広告出稿量が減ることを恐れるからに他ないと思うのですけれど。つまり、マスメディアもジャーナリズムを放棄した共犯関係にある、守銭奴企業だからでしょうか。

この記事を新自由主義の急先鋒に堕した朝日新聞が掲載することは皮肉というほかないでしょうね。

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